こんにちは、Akira(@slide_japan)です。
前回、大塚商会のアルファメールプレミアからさくらインターネットへ移行する為の準備について記事を作成しました。
今回はその続きで、実際にサーバの移行を実施した実録を書いていきます。
前回の記事(準備編)
【サーバ・ドメイン移管:準備編】大塚商会アルファメールプレミアから、さくらインターネットへ移行
大塚商会のアルファメールプレミアからさくらインターネットへサーバ移行する時の準備について紹介します。
移行対象となるサーバの詳細
サーバ移行の準備としてやっておくべきこと
今回の記事(実録編)
サーバ移行の実録
サーバ移管をスタートすると、どのような事が起きるのか? どのように対処していったのか? を一つ一つ記載していきます。
あなたがサーバ移管を行おうとしているのならば、ぜひ参考にしてください。
それでは、さっそくいってみましょうッ!
【サーバ・ドメイン移管:実録編】大塚商会アルファメールプレミアから、さくらインターネットへ移行した実施ログ
サーバの詳細
前回の記事を読んでいない方のために、サーバの状態について記載していきます。
「知っているよ」という方はここは読み飛ばしてください。
移管前:大塚商会 アルファメールプレミア
移管先:さくらインターネット スタンダード
- ドメインの種類:属性JP(co.jp/go.jp/or.jp/ed.jp/ac.jp)
移管前である大塚商会のアルファメールプレミアでは、Webサーバとメールサーバ、そして独自ドメイン(属性JP)を運用していました。
もちろん、今回の案件を頂いた会社様の公式サイトがWebサーバで稼働しており、組織のメールアドレスとしてメールサーバを利用しています。
独自ドメインはWebサーバ及びメールサーバに割り当てられていました。
Webサイトはhtml+cssで制作したモダンスタイルで、WordPressなどのCMSは使用していません。
同様にデータベースも使用していない状態でした。
よって、サーバ移行時に求められるデータは以下となります。
Webサイトのデータ
メールアカウント情報
実際に経験したサーバ移行の流れと注意点
移行開始前:さくらインターネットのスタンダードプランを契約する
兎にも角にも、さくらインターネットの契約を済ませてしまいましょう。
契約することで次のことを実行できます。
メールの使用制限を電話認証で解除する。
さくらインターネットを契約すると、最初はメールの使用制限がかけられています。
サーバ移行が進んでくると、メールはさくらインターネットのサーバで処理されるようになります。
使用制限がかかっていると送受信において不都合が出ますし、後でやろうと考えていると忘れてしまいますので、先に解除してしまいましょう。
一般的な電話認証による解除方法で、受話器越しに解除キーとなる数字を聞き、Webサイトに入力するだけで完了します。
Webサイトの移行
WebサーバにWebサイトのファイルを配置して、いつでも参照できる状態にしておくと、後の作業が少なくなります。
まだドメインがありませんので、SSL化などは行えません。
メールアカウントの作成
ドメインが移管される前ですが、メールアカウントの作成が行えます。
さらに作成したアカウントは、現段階でメーラーへ設定できますので、このタイミングでメーラに登録するマニュアルを策定すると良いです。
0日目:移行手続きの実施
大塚商会へ『解約申請書』を送付
『解約申請書』を利用する場合には、作成の手引きをいただけますので、それに沿って作成を行います(ここから参照してもOKです)。
営業担当者へ文書を送ると、半日程度で手続きを済ませたという連絡がありました。
事前に相談した為、大塚商会側でも準備をして、神対応を取ってくれたみたいです。
さくらインターネットへドメインの指定事業者変更依頼を実施
ドメインの移管手続きにも日数を要しますので、アルファメールプレミアの解約手続きと同時に、ドメインの移管手続きを実施します。
ドメインの種類によって手続き方法が異なりますので注意が必要です。
私の場合、属性JPドメインでしたので、以下のサイトを参考にしました。
汎用JP・属性型JPドメインの指定事業者を変更したい | さくらのサポート情報
このマニュアルでは、指定事業者変更についてご案内しています。指定事業者変更とはJPドメインは、指定事業者と呼ばれるJPRS(日本レジストリサービス)が定めたドメイン登録業務を代行する法人を通じて管理されます。指定事業者変更は、ドメイン登録業務を代行する法人を変更する手続きです。汎
端末のメーラーへさくらインターネットのメールアカウントを追加する
メーラーへさくらインターネットのメールアカウントを追加していきます。
注意点ですが、大塚商会のメールアカウントは送受信できる状態を維持しておく必要があります。
ドメイン移管の最中は、大塚商会とさくらインターネットのどちらかのメールサーバを経由して処理が行われます。
なので両方のアカウントで運用できる体制を整えなければ、受信漏れが生じます。
3日目:さくらインターネットの指定事業者変更手続きが実施される
0日目は金曜日だったので、土日を挟んでいます。
月曜日(3日目)には、さくらインターネットから指定事業者変更手続きを実施し、承認待ちの状態だと通知を受けました。
4日目:さくらインターネットの指定事業者変更手続きが完了する
ドメインの管理が大塚商会からさくらインターネットへ切り替わったという通知が送られてきました。
指定事業者変更手続きにおいて、大塚商会が神対応で承認をしてくれました。
ドメインの移管が完了したら、次のことを行います。
さくらインターネットで新規契約したサーバに移管したドメインを追加する
ドメインの移管が完了しても、そのドメインをサーバへ追加しないと使えません。
まず最初にドメインを追加して、使用できる環境を整えます。
さくらインターネットで取得・管理中のドメインを設定したい | さくらのサポート情報
このマニュアルでは、さくらインターネットで取得・管理中のドメインを利用する手順についてご案内しています。前提条件さくらインターネットにて2004年7月15日以降に取得・移管された独自ドメインに限ります。他社で取得・管理されているドメインについては、こちらをご覧ください。さくらイン
ドメインのネームサーバ設定を行う
移管したドメインのネームサーバは大塚商会のものが設定されているので、さくらインターネットのネームサーバへ切り替えて下さい。
私の環境では、大塚商会のネームサーバは3つ登録されていたので、1つを削除して、残り2つをさくらインターネットのものにしました。
ちなみに以下のサイトでは、さくらインターネットのネームサーバは大文字で記載されていますが、小文字でも問題ありませんでした。
ネームサーバー情報を変更したい | さくらのサポート情報
このマニュアルでは、ネームサーバー情報の変更についてご案内しています。ドメインのネームサーバー情報変更とはさくらインターネットで管理されているドメインは、ネームサーバー情報を変更することができます。注意事項ネームサーバーを変更すると、情報が反映するまでに数時間~48時間程度必要と
SSL化の設定
サーバにドメインが関連付けられたので、ここでようやくWebサイトのSSL化を行えます。
さくらインターネットでは無料で使える Let's Encrypt に対応しており、今回はこのSSL証明書を使用しました。
利用手続きを終えると、6時間くらいで発行されますので早めに手続きを行ってください。
このタイミングにおけるWebサーバは、大塚商会側が参照されていますが、翌日になるとさくらインターネット側のアクセスが確認できました。
SSL化が済んでいないのにも関わらず、.htaccessでhttpをhttpsに書き換える処理を行っている場合、Webサイトに接続できない事態になります。
ユーザがWebサイトにアクセスしてくれたのに501エラーを出してしまうのは失礼ですし、さらにGoogleにも影響を及ぼすのでSEOとしても不利になります。
遅延無きサーバ移管を実現する為に、SSL化は絶対に行ってください。
無料SSL(Let’s Encrypt)を設定したい | さくらのサポート情報
このマニュアルでは、さくらのレンタルサーバで無料SSL(Let’sEncrypt)を導入する手順についてご案内しています。前提条件・設定例前提条件無料SSL機能は米国の非営利団体であるInternetSecurityResearchGroup(ISRG)の運営するLet’sEnc
5日目:メールを受信するサーバが不安定になる
相手から送付されたメールを受信する時、経由するメールサーバが大塚商会かさくらインターネットのどちらかになります。
これは完全にランダムな状態で、 受信するメールサーバを予測できません。
この事態に備える為に、両方のメールサーバからメールを受信できる環境を整えておかなければなりません。
時間が経過すれば、移管先であるさくらインターネットのメールサーバに落ち着きます。
6日目:メールサーバがさくらインターネットへ完全に切り替わる
メールを受信すると、さくらインターネットのアカウント側へはいるようになります。
ドメインの移管が完全に完了し、メールサーバが安定した状態です。
この状態になったら、メーラーに設定された大塚商会のアカウントを早めに削除するようにして下さい。
早めの作業を行う理由ですが、以下のような送受信結果が生じるからです。
大塚商会のアカウントで自分自身へ送信すると、大塚商会のアカウントで受信する。
さくらインターネットのアカウントで自分自身へ送信すると、さくらインターネットのアカウントで受信する。
上記以外のアカウントで送信すると、さくらインターネットのアカウントで受信する。
つまり、同僚などへ社内メールを送る場合はメールサーバが不安定な時期と同じ挙動になりますが、それ以外ではさくらインターネットへ一本化されます。
メーラーによっては同一アカウントを設定できませんので、このタイミングになるとさくらインターネットへの切り換えを行う必要が出てきます。
さくらインターネットへ切り替えると、大塚商会のアカウントから送信された社内メールが受信できなくなるので、メールの受信漏れという障害が生じてしまいます。
この障害を発生させないためにも、早急に大塚商会のアカウントを削除して、さくらインターネットのアカウントから確実に送受信できる環境を構築する必要があります。
終わってみてAkira(@slide_japan)が思ったこと
準備編でも記載した通り、大塚商会と打ち合わせを行い、入念な準備をしてからスタートしたので、実際に始まってみると意外にも順調にことを運べました。
各クライアント端末にメーラーを設定したり、サーバ設定をしたり、動作を確認したり、矢継ぎ早に実行していきましたが、大きなトラブルも起きませんでした。
成功した理由として、次の3つが挙げられます。
メーラー設定に対するマニュアルの作成
一人で100台程度のクライアント端末を相手にする必要があり、かつそれらに設定されているメーラーはバラバラだという情報を得ていました。
その為、設定ミスが起こると考え、次の点を考慮しながらスクリーンショットで画像を取得しつつ、マニュアルを作成しました。
どこにどのような設定を入れるか
設定する画面までのフローはどうなっているか
できない時の代案
設定漏れを起こさないチェックリスト(確認項目)
操作設定を実施していく際、ど忘れしてしまったらマニュアルを確認し、最後には必ずチェックリストで照らし合わせて設定状況を見直しました。
見直しをする分、時間はかかりましたが、設定ミスや漏れによる出戻りが一切ありませんでした。
パソコンの設定を行う際には、場合によってクライアント端末の利用を一時的にやめてもらい、操作権を頂きます。
実務をこなしている方へ「操作漏れがあるので、また貸してください」というのは失礼であり、かつ不信感を抱くきっかけになりかねないと、私は考えています。
出戻りをするリスクを抱えて前に進むならば、戻らなくても良い環境を用意して実行するべきです。
アクションプランの策定
大塚商会及びさくらインターネットの双方からサーバ移管とドメインの指定事業者変更について可能な限り情報を収集しました。
両社が作成したフローを見ながら、それを実施するタイミング(トリガー)は何か? 実施しなければどうなるか? を想定し、自分自身のアクションを落とし込みました。
そのおかげでほぼ迷いなく、移行作業が完了できました。
もちろん、想定漏れもありましたし、想定しすぎたパターンもありました。
今回、このサーバ移管の記事を書いたのは、自身の備忘録と言う側面もありますが、私のようにサーバ移管を行うあなたがどこまで想定するべきかを示すためでもあります。
分からないことがあったら、他者の実績に乗っかって想定してみるのも良い作戦です。
そして、何を行うにしても想定外の事態は必ずつきものです。
自分が行うべきアクションが見えているならば、想定外の事態に対し対処の有無やいつまでに対処しなければならないかが明確になります。
分からないことが多くなると思考がパニックになって考えがうまく纏まらなくなってくるので、そうならない為にも透明性の高い計画を立ててください。
最後にものをいうのはガッツと体力勝負
精神論を持ち出しても物事は決して解決しませんが、状況を変えられる武器は自分自身の精神です。
目の前の問題を見据えて、いかに解決していくかが求められる時があります。
その時、前に進もうとする意志と正常な思考能力があれば、解決する手段は見えてきます。
また各クライアント端末は建屋を隔てたところにあり、そこまで歩いて移動を求められます。
体力が無いと疲れてしまい、判断力や思考力が鈍り、時に設定ミスを起こしても気付けない場合が出てくるかもしれません。
疲れてくると焦りも出てきたり、逆に早く終わらないかと慢心してしまったりするので、とても危険な状況になります。
引き受けたからには最後までやり抜く根性を持って対応する必要があります。
最後に
今回は大塚商会のアルファメールプレミアからさくらインターネットへ移行した時の実録を紹介しました。
サーバ移行・ドメインの指定事業者変更は、前段取りのおかげで一週間で終わりました。
情報提供を頂けた大塚商会の担当者の方、さくらインターネットのサポートの方、ありがとうございました。
Webサーバとメールサーバが一緒に稼働し、それらにドメインを当てている場合、やるべき作業が煩雑かつ多岐にわたります。
実行前に準備を済ませ、かつ自分自身がなすべきことをアクションプランに落とし込むことをおすすめします。
あなたがこの記事を読んでサーバ移行やドメインの指定事業者変更を実施したのなら、記事の足りなかった分や変わった点を指摘していただけると幸いです。
次の実行者にとって多くのメリットが生まれてくれます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし今回の記事が良かったと思った方や評価したいと思った方は、コメントを残して頂けると嬉しいです。
また、私はパソコン以外にも記事を書いていますので、そちらも読んでいただけると幸いです。